「佇まい」
それは僕が家を考えるときに気を付けている事。
誤解されるといけませんが、僕は外観のデザインというものには実はそれほど興味がありません。フォトジェニックな外観でありたいとか、オシャレでカッコいい外観を考えるという思考は僕の中にはほとんどない。
でも、決して外観に無頓着であるという訳でもありません。
無頓着でないとしたら何に気を付けているのかといえば、この「佇まい」です。外観のデザインを形として見ているのではなく、俯瞰した視点でその家が建っている様の雰囲気に気を付けているのです。気を付けているといっても事細かに何かを検討するというものでもなく(←だってそれは外観のデザインを考えているのと同じだから)、自分の中で佇まいが心地良いと感じるゾーンに納まっているかどうかに気を付けているだけです。
もちろん細かい詳細図を書きながら設計していくわけですから形を同時に考えている事には間違いないのですが、その形を考える僕の拠り所はほぼ機能性に尽きるといっても過言ではありません。
なぜそうしているのかと問われたら答えは簡単です。僕には素敵な形を考える才能なんてないからです。
自分であれこれ形を考えたところで、その形を考えた時は良しと感じても、時間が経つにつれその作為が余計なものに感じてしまうと考えるから。だから、ただ(広い意味での)機能性を突き詰めてそれを整えることにより、時間が経っても余計な作為を感じることのない、時間に耐えうる建築が作れると感じているから。(それがどこまで自分にできているかどうかはまた別の問題ですけどね・・・)
デザインしているのにデザインしていない。
デザインしていないのにデザインしている。
なんだか矛盾しているようですが、僕の正直な設計の時の心得です。