先日の建築相談会でいらっしゃった相談者の方に、「青木さんの古い作品を見ても全然古さを感じなくて、これなら何年経っても古さを感じない家を建ててくれそうだなと思いました。」と言われました。
僕はあまりそういった意識を持っていませんでしたが、言われてみると確かにそうなのかもしれません。そもそも古いとか新しいという感覚で家を設計していませんし、僕が使う素材自体も流行にとらわれないシンプルで普遍的な素材ばかりなのでそう感じられるのかもしれません。
また、僕のこのブログを全部読まれて(以前のブログやエッセイも含め)、僕の考えが長年変わらぬままだという事に共感されてオファーをいただくクライアントも少なくありません。
建築家によっては建築のスタイルがいろいろと変化する建築家もいますが、僕自身の考えを述べると、僕が設計する家は、基本的に僕自身が住みたいと思うような心地良い家でありたいと常に考えながら設計しています。
心地良いと感じる家のあり方ってそんなに変化はしないものなんじゃないかと僕は思います。そもそも人間が心地良いと感じる感覚って、何百年も基本的には変わらないのでは?とも思います。
もちろん設計のディテールはプロジェクトの度に試行錯誤を繰り返し、少しずつブラッシュアップされていきます。そうやって自分の血となり肉となったディテールがいつのまにか自分の建築のパーソナリティを表わすものに自然となっていった気がします。
一見、進化が無いようで、実は少しずついろいろな所が進化しているのです。まあ、3歩進んだら2歩下がるみたいなゆっくりとした歩みですが・・・(笑)
でも、建築に対する基本的な姿勢というものは、建築を始めた頃と少しも変わることはありませんし、この先もきっと変わらないと思います。だって良くも悪くもそれが僕自身だから。
青木昌則建築研究所