
岐阜市に今年の夏にオープンしたみんなの森ぎふメディアコスモス(設計:伊東豊雄)に行ってきました。
僕は正直に言うと伊東豊雄の建築にはほとんど興味が無いのだけれど、この建物だけは少し気になっていて、どんなものかとこの目で確かめに行ってきた次第です。
そして正直な感想を言えば、思いのほか良い空間だった。少なくとも2階の図書館は本当に心地良かった。(上の写真)
天井には東濃ひのきの板が格子状に重ねられて組まれ、三次元曲線で波打ち、上に持ち上げられた部分にはトップライトから木の格子越しに自然光が降り注ぎ、その下にあるたくさんのクラゲのような傘をぼんやり照らしだしています。
広々とした図書館は書棚の高さが抑えられ全体を見渡す事ができ、オープンな中にもそれぞれに用途に応じたコーナーが設けられ、それらが曖昧に区切られていました。天井の桧の板からは木の香りがして、みんなの森という名前の通り、森の中にいるような心地良さで、これは市民に広く受け入れられる建築だと感じました。
しかし25年以上この仕事をやっていて、はじめて伊東豊雄の建築を良いと思いましたよ(笑)。
25年ほど前の設計事務所に勤めていた頃、先輩のT瀬さんが僕にこんなことを言っていました。
「青木君、建築家でこの先誰が生き残っていくと思う?僕はね、伊東豊雄だと思う。あの人はね、いろいろとスタイルを変えてしたたかに生き残っていくと僕は思うね。」
実際、当時活躍していた建築家で今も活躍している建築家はかなり少ない。当時のT瀬さんの見識は正しかったんですねぇ。