人にはそれぞれ長所と短所というものがあります。良い所と悪い所。でも見方を変えたら悪い所だって良い所に見える事もあるし、良い所だって見方によっては悪い所に見える事もある。
極端なことを言えば全てにおいて完璧な人がいたとしたら(あくまで仮定の話ですよ。完璧な人なんてこの世にいるわけありません。)、それはそれでどことなく魅力がない人のようにも見える。(魅力が無いって言うのも欠点か?)
世の中には長く愛される特別な個性を持った物が数多く存在しますが、その中には欠点と呼んでもいいような部分がその物の個性となり、強烈な魅力となっているものもたくさんあります。
例えば僕が乗っているクラシック・ミニ。
1959年から40年に渡りほとんど変わらぬまま長く愛され続け、もちろん今でも世界中に多くの愛好者がいる。小さく造ることを最優先して生まれたクルマなので、現代のクルマにあてはめて欠点を挙げだしたらキリがないほど出てくると思う。大きな荷物は積めない、乗り心地は悪い、現代のクルマには当たり前のように装備されている快適な装置はほとんどない、などなど。
でもそれらの欠点を改善し、たくさんの荷物も積めるように大きくなり、乗り心地も良くなり、快適装備も充実し、などとなっていたらクラシック・ミニは今のように多くの人に愛され続けられただろうか?
例えばスコットランドのアイラ島ラフロイグ蒸留所で造られるラフロイグというシングルモルト・ウイスキー。
アイラ・ウイスキーの中でも最も強烈な個性を放つシングルモルト・ウイスキーですが、その個性ゆえに好き嫌いのはっきり分かれるウイスキーであるが、熱烈な愛好者も多い。
もしこのラフロイグが飲みやすいウイスキーであったなら、それはそれで多くの人に好まれたかもしれないが、ラフロイグという特別な個性は生まれなかっただろう。
たくさんの長所を揃えればひょっとしたら多くの人に受け入れられやすいのかもしれないけれど、そういったものは、つまらない会議の多数決で決まったようなもので、結局はぼやけた魅力しかなく、人に深く愛されるような物にはなりにくい。と、僕は思う。