最近、パソコンやスマホ、テレビなどの液晶LED画面から発せられるブルーライトが人体に与える悪影響なんてものが話題になっています。
実際に長時間ブルーライトを見続けると目に負担がかかるだけでなく、体に浴び続けても悪影響が出るという報告まで目にしましたが、実際のところは正直、僕にはよくわかりません(人体の専門家ではないので)。
ただ、光の種類が人に与える感覚的な影響というのはとても大きなものです。
ブルーライトといえばその名の通り青白い光のことを指します。光の色というのは色温度という数値で示しますが、下図はその光の色温度を示したものです。
単位はK(ケルビン)で表します。
低い温度の炎が赤色からやがてオレンジ色、白色、青白い色、青色へと炎の温度が上がるにつれ変化するのを想像してもらうと一番わかりやすいかと思います。
色温度の実際の目安としては、
1800Kの赤い光がろうそくの光。
2000Kが日の出、日の入りの太陽の光。
2800Kが白熱電球色の光。
3000Kが電球色の蛍光灯の光。
3500Kが温白色の蛍光灯の光。
4200Kが白色蛍光灯の光。
5000Kが昼白色(またはナチュラル色)蛍光灯の光。
5000~6000Kが太陽光線の色。
6500Kが昼(正午)の太陽光の光。
6700Kが昼光色(またはクール色)蛍光灯の光。
9300Kがパソコンのモニタの標準の光。
色温度が高ければ均質で明るく強い光に、低ければ温かみがあり立体的な光になります。
事務室などの作業をする場所や、色彩を正確に読み取る必要があるような場所では色温度が高い光が、ホテルなどのリラックスさせる場所や、食べ物を美味しそうに照らす場所や、造形を立体的に浮かび上がらせたい場所などは色温度の低い光が適しています。
ある報告では、人は日中に太陽の光や事務室の明るい蛍光灯の光に晒されているので、夜も同じように明るく強い光を浴び続けると、人の体内時計に異常をきたすようなことが書かれていました。
それがどこまで正しいのかは分かりませんが、個人的にはっきり言えることは、仕事で疲れた体をゆっくりと休めてくれるのは、旅で疲れた宿泊客を夜にきちんとくつろがせてくれるホテルのような照明であり、色温度の低い温かみのある光だということです。
奥さんが作ってくれた手料理だって色温度の低い光の下で見るとより一層美味しそうに見えます。レストランのテーブルの上の照明だってもちろんそうなっています。
僕が普段設計する住宅には、作業をする一部の場所を除いてほとんど全て白熱電球か電球色の蛍光灯を使います。(最近は白熱電球の生産が終了したこともあり僕も電球色の蛍光灯が主ですが、さみしい限りです。でも本当のエコって何でしょうねぇ・・・。)
どこかの電機メーカーが「家の中の照明は明るいことが良いことだ」みたいなことをCMで昔流していましたが、多くの日本人の意識にそれが刷り込まれてしまったようで、リビングだろうとダイニングテーブルの上だろうとびっくりする位に明るい蛍光灯をつけるのが一般的になってしまいました。
でもそもそも家の中が隅々まで白々と明るくなる必要がどこにあるのでしょうか?蛍光灯の明るい光に慣れてしまっている方はピンと来ないかもしれませんが、電球色の生活に慣れてしまうと蛍光灯の光のその寒々しさに、家の中にいても落ち着かない感覚というものを覚えるはずです。
実際に僕のクライアントの皆さんは「もう蛍光灯の光の生活には戻れない。」と言います。
人体に与える悪影響ははっきりわかりませんが、明るさを抑えた色温度の低い光が人をくつろがせ、身体を休めてくれるのと同時に、夜の心地良い眠りへと導いてくれることは間違いないと思います。
ビバ、電球色!