「現場で職人に(無駄な)やり直しをさせない。」
職人というのは自分が一生懸命につくった仕事を簡単にやり直させられる事を嫌う。もちろん面と向かって嫌な顔はしなくても、やはり嫌だし、モチベーションも下がってしまう。
もちろん、間違いを直すというのは仕方ないにしても、出来るだけその間違いを無くすように詳しい設計図を描いたり、現場に足しげく通い、しっかりと打合せするのは、設計士の仕事だと思う。
よく聞く「イメージと違うから・・・。」なんて理由で、せっかくつくったものを壊してつくり直させられるというのは、職人でなくてもそれが如何にモチベーションを下げる事かは想像がつくと思う。
モチベーションを下げた職人がする仕事と、モチベーション高くやった仕事。
その結果の違いは明らかだし、その家に何十年も住むクライアントにとってもどちらの家に住みたいかと問いかければ、その答えも明らかだと思う。
もちろん家は職人のためにあるものではない。ただ、その家づくりに携わったクライアントをはじめ、設計士、現場監督、職人みんなが気持ち良く仕事をし、そしてその仕事を終える事が出来る事、それを導いていくのが設計士の大きな仕事だと僕は思っている。
建築というのは、完成までのその途中でいろいろな障害が起こるものです。いったん港を出てしまえば、荒波にさらされようとも目的地の港に無事たどり着かなくてはならないもの。その舵を取るのはやはり、そのプロジェクトの一番最初から最後まで一貫して携わる設計士しかいないと僕は思います。
そしてそれが結局クライアントに帰ってくるのです。
いろいろな考えはあるとは思いますが、僕はそう考えます。