僕のような零細事務所にも時々大学や専門学校などから、新卒採用についての求人の案内が来る。
もちろん大学の就職課(?)からしてみればいろいろな会社に求人募集が無いかの案内を出すというのは当然の事なんだろう。特にこのような就職がとても難しくなっている現状では、僕のような小さな事務所にも一応そんな案内を出すのだろうと推察する。大学側としては本当は大手の組織設計事務所やゼネコンなんかに学生を就職させたいのだろうけど。
でも、僕は個人的に思うのだけれど、少なくとも小さなアトリエ事務所に就職しようっていう意思があるような、ある意味
根性のある夢を持つ学生なら、大学の求人案内を見て就職活動なんかしないのではないだろうか。自分が働きたいと思う設計事務所を自分で見つけて自分で直接その事務所に連絡を取るものなんじゃないかと。
昔、まだ僕が設計事務所に勤めていた20年くらい前に、その事務所にある電話がかかってきた。電話をかけてきたのは、大学4年生の息子を持つ母親で、息子が設計事務所に就職したいと大学の教授に相談したところ、設計事務所で模型製作なんかのバイトをして経験した方が良い(今でいうインターンシップ制度のようなもの)とアドバイスされたらしく、その相談の電話だった。
息子の就職を心配する母親の気持ちも分からなくはないが、そんなのは本人が電話するものじゃないのかねぇ、とちょっと呆れたのをよく覚えている。
おそらく息子が頼んだ事ではなく母親が勝手に電話したものだと思うのだけれど(きっとそうですよね?)、そんな経緯では息子も恥ずかしくて面接にも来れないだろうと思う。
小さなアトリエ事務所で働こうって人は、その事務所が求人なんかしていようがしていまいが、まずはその設計事務所に突撃するというのが正しいやり方ではないかと僕は思う。(ホントか?)
もちろん玉砕する事もあるだろうし(ほとんどそうかもしれない)、今すぐには採用できないという返事をもらう事も多いと思う。でもそうやって自分の手と足で手に入れるものだと僕は思うし、そういったしつこい資質がこの仕事をやっていく上でも必要だとも思う。