僕の事務所も今日で仕事納め。
夕方から少しだけですが事務所の掃除をして、
デスクの上に散らかっていたプランニングのエスキス・シートをまとめ、
卓上カレンダーを来年のものに替えました。
今年は僕の44歳の誕生日である3月11日に起こった震災と原発事故で、
日本にとってとても苦しい一年になってしまったと思います。
でも、物質的な豊かさから精神的な豊かさへと方向転換するターニングポイントであるという気もします。
個人的にも今年はいろいろな事がありました。
悲しい出来事もあったし、思いがけず悪い出来事もあった。
もちろん良い出来事もありました。
悪い事も良い事も、それらを全部ひっくるめて今の自分があります。
間違いなく自分自身が通ってきた道であり、経験なのです。
そして、経験した事から人は何かを学ぶのです。
僕を支えてくれた理解あるクライアント、良き職人たち、そして心温まる僕の家族、皆がいたからこそ今年も僕はこうやってなんとか乗り切る事が出来ました。
社会的には厳しさを増す一方の建築の世界ですが、
やっぱり僕にできる事は、
目の前にいるクライアントのために僕にできる精一杯の仕事をする、
という事しかありません、当たり前ですが。
以前に、あるクライアントの方から、
「青木さんて、(建築)業界の中で、どれくらいの位置にいるんですか?」
って尋ねられた事があります。
その時は、「さあ、どうなんでしょうねぇ・・・。自分でも分かりません。」
と、正直にお答えしましたが、あらためて考えてもやっぱり答えなんて出ませんね。
真ん中くらいかもしれないし、下の隅っこの方かもしれません。
でも、思いっきり大風呂敷を広げても上の方とは言えない気がします(笑)。
そもそもどんな基準で判断するのか曖昧ですけどねぇ。
で、何の話でしたっけ?
そうそう、目の前にいるクライアントのために精一杯の仕事をするしかないっていう話。(笑)
結局はそういったひとつひとつの事の積み重ねでしかありません。
そもそも建築というのはそういうものなんだと僕は思います。
建築というのは一瞬のひらめきで出来るようなものではなく、
ひとつの建築をつくり上げるのは、それが例え小さな住宅であろうと
長い長い道のりを必要とします。
決して創造的な道のりだけではありません。
どちらかというとそれ以外の地道な部分の道のりが80%以上を占めていると僕は思います。
もちろん人それぞれかもしれませんが、
建築ってそうやってコツコツとクライアントに向き合い、空間に向き合いつくっていくものだと思います。
いや、そういうものというよりも、そういうやり方でしか僕は出来ないと言った方が正しいかもしれません。
誤解されるかもしれませんが、
僕はカッコいい建築を作ろうと思いながら設計はしない。
(もちろん無頓着で実用一点張りという訳でもありませんが・・・)
そんな気持ちでもし建築をつくり上げたとしたら、
きっと僕はつくってしまった大きな自己嫌悪に陥るだろう。
だから僕は出来るだけ、ただありのままを設計図に写したいと思っている。
それが僕の建築に向き合う姿勢。
もちろん、来年も同じ。
まだ見ぬクライアントの方々からのオファー、来年も待ってます!(←毎年同じ)
今年最後のBGMは、昨年と同じSuperflyの「愛と感謝」です。
来年も、Happy SAABing !!