いつものスタンドへガソリンを入れに行くと、少し前に入った年配のおじさん(たぶん60歳くらい)が、僕のSAABの窓を拭きながら、
「窓を拭く度に思うけど、このサーブのフロント・ガラスの湾曲具合はすごいよねぇ・・・。」と感心しながらおっしゃっていた。
僕のSAAB(C900)は見た目が古くて、尚且つどちらかというと地味なデザインなので、あまり気付かないかもしれませんけど、フロント・スクリーンのその曲がり具合ったら今どきなかなか見かけませんよ。
ほらね。わかります?
スクリーンの下端なんかは1/4円の円弧くらいの形状です。
昔の小型プロペラ機のコックピットみたい。
もともとが航空機メーカーだったSAABだけに空力的にも優れ、Cd値(空気抵抗係数)は確か0.34だったと思います。僕のSAABは1990年式ですけど、この形は1974年から続いていますから当時としてはそれは飛び抜けた数字だったと思いますし、現在のレベルで見ても決して引けを取らない数値だと思います。そもそも当時の他の自動車メーカーはCd値なんてたいして気にしていなかった気もしますけどね・・・。
1970年代というとスーパーカー・ブームのフラッグシップ・カーであったランボルギーニ・カウンタックが挙げられます。ウェッジシェイプの未来的なデザインでしたが、Cd値は0.47です。(※Cd値は、数字が小さいほど空力的に優れています。)
SAABのデザイン哲学が伝わってきます。
決して見てくれだけを考えてデザインしていないし、SAAB独特の設計思想があります。
SAABの当時の設計思想は意外なほど現代のクルマに多く取り入れられている事が多いのもまた事実。
でもSAAB社は本当に営業、というか戦略が下手なのか、全然それが世間に認知されていないのもまた悲しい事実です。(苦笑)
まあそんな話は置いといても、SAABのデザインは理屈抜きに素晴らしいデザインです。でも決して理屈だけで作られているクルマではないという点がSAABの設計思想の素晴らしさであるのですが、その反面、デザイン思想の奥ゆかしさゆえに明確なアピールポイントを説明しにくいのがなかなか難しいところ。
この写真のようにマイナーチェンジされる前の99の面影を残したフロントマスクが個人的には好きですね。誰かC900のこのフロントマスク持っていませんか?