先日の日曜日に一級建築士の二次試験となる設計製図試験がありましたね。
今年は美術館の設計という課題で、設計本来の基本的な力が試されるような建物でした。
もちろん僕も当時はそうであったように、受験者の方は試験に向けて勉強を重ねて試験に挑んだ事と思います。結果、合格する人もいればそうでない人もいる。当たり前だけれど。
ただ一級建築士の試験に合格したからと言って、設計する能力が高いとは限らない。逆に言えば、一級建築士の資格を持っていなくても設計する能力が高い人もいる。
僕は何が言いたいのかというと、結局のところ、設計というのは自分の経験の上に成り立っているものであるという事。決して机上で勉強した事ではない。
実務上の設計の場においてもそれは同じ事。いくら専門誌などを読んで建築の事を学び、それを実際の設計に生かしたとしてもそれは自分の力にはなっていない。ただどこかから借りてきただけの知識にすぎない。
ディテールにしたって、詳細図集なんかを見てただ真似したって結局はダメで、その中から自分なりの答えを自分なりの検証と経験により導き出すしかないものだ。その先に自分のディテールというものが少しずつ出来ていくものだと僕は思っているし、そうした自分なりのディテールの積み重ねが自分の建築のアイデンティティとなって表れてくるものだ。
それは単なる知識ではなく、紛れもなく設計者自身の知恵であるし、日々の検証と実践の積み重ねである。