休みをいただき(←誰に?)四国に建築巡礼の旅に行って来ました。
第一の目的は、高知にある牧野富太郎記念館を見る事。
設計は安曇野ちひろ美術館(1997)を設計した建築家の内藤廣(1950-)。
牧野富太郎記念館は植物学者の牧野富太郎の植物園の中にある本館と展示館となる建物で1999年に完成し、以前よりずっとこの目で見てみたいと思っていた建物です。
この記念館で何より特徴的なのが、U型にうねるように架けられたその屋根の形とその深い軒だろう。そしてそれらを支える木造と鉄骨造を組み合わせた構造体の美しさ。
そして何と言ってもそれが建築家、内藤廣の真骨頂というか、単なる造形的な理由でそうなっているのではない事。つまり、すべてがそういった形になるべく理由があるという事。
太平洋に面した五台山の上に建つこの記念館に吹き付ける風と雨はすさまじいものらしく、深い軒は下から吹き上げる雨に対処するためのもの、そしてうねったU型の屋根はその強烈な風を流すための形状である事、木造を補強する鉄骨は吹き上げられて持ち上がる屋根をしっかりとつなぎとめておくためのものである。
もちろん、そんな合理的で実務的な理由を構造美へと昇華させる内藤廣独特の建築には本当にいつも感服させられる。
脊椎動物の背骨のような木と鉄骨の構造体がかかる内部の構造的な美しさをお伝えしたいが、展示室は撮影不可なので残念ながらお伝えできません。
しかし、やっぱり軒下って良いですよね。
日本人だからでしょうか、何とも言えず軒下って落ち着きます^^。
そしてもうひとつの目的は、松山にある伊丹十三記念館(2007)を見る事。
設計は主に住宅設計や家具を中心に行っている建築家の中村好文(1948-)。
ちなみに中村好文さんは内藤廣設計の安曇野ちひろ美術館の家具を手がけています。しかも内藤廣さんに自分から売り込んで(笑)。
何と言っても住宅作品が多い中村好文さんの建物を見学できる数少ない建物であり、中村さんの実際の建物を僕が見たのもこれが初めて。
建物は中庭を設けたシンプルなプラン。
記念館といった種類の建物の中では、この伊丹十三記念館は小さい建物の部類に入ると思いますが、その小ささがまた中村さんらしさが出ていて良かったです。
受け付けのスタッフやカフェのスタッフもとても親切に案内してくれました^^。
僕の場合、基本的に美術館などの見学はいつも建物メインですけど、伊丹十三の展示物もなかなか良かったですよ^^。