僕は自分が設計した家が完成した時にいつも、「ああ、○○さん(←クライアントの名前)らしい家になったなあ。」と感じる。設計している最中や工事中もあまりそんな事は意識しないのだけれど、工事も最終段階に入ってきた頃にはそんなような事を感じ始める。
計画段階や設計の段階でも特にそういった事を意識しているわけでもないのだけれど、クライアントとの会話などから感じ取るクライアントの個性というか人となりというか、そういったものが自然にに設計の中に浸透していく感じだ。もちろんヒアリングシートと呼ばれるクライアントが記入した要望書も計画段階で盛り込んでいく事になるのだけれど、その盛り込み方がやはりクライアントによって変わってくる。もちろんその要望書にもクライアントの個性が表れている事も多いけれど、要望書に書かれている表面的な事だけではなく、その行間に潜むものを会話の中から感じ取っているのだと思う。だから出来上がる家にクライアントの個性を感じるのだろう。個性と言っても決して「個性的」という意味の個性ではなく、クライアントの人柄というかパーソナリティというもので、あくまで何となく感じ取れるというものです。
以前に、建築設計というのは建築物に向き合っているのではなく、実はそれを使う人と向き合っているのだと書いた事がありますが、やはりきっとそういう事なのだと僕は思います。