先日の夜にたまたま目にしたNHKテレビの「世界遺産を訪ねて」というような番組でスイスの素晴らしい自然を紹介していた。アルプスの素晴らしい山々の絶景とスイスの人々のまさに「アルプスの少女ハイジ」そのままのような暮らしも紹介していた。ただその素晴らしい自然も決して自然ありのままという訳ではなく、キチンと人間が手を入れて自然を何百年と守ってきたらしい。そしてその後何百年も同じ事を続けると。
以前にもスイスの時計職人について紹介していた番組をたまたま目にした事があるが、その世界的な時計職人は山のふもとの自然豊かな場所に工房を構えて時計を組み立てていた。腕時計というものはとても小さく精密な機械なので、組み立てるのにはものすごい集中力が必要になる。だからそのスイスの時計職人も、スイスのこの自然の中だからこそできる仕事だと番組内で言っていた。
スイスと言えば、有名な建築家はマリオ・ボッタ(1943-)とピーター・ズントー(1943-)だろう(今気づいたが、二人は同い年なんだ・・・)。
マリオ・ボッタは80年代ごろには既に世界的な建築家として知られていたが、ピーター・ズントーは90年代の中ごろまで雑誌「A+U」(世界の建築を紹介する建築専門誌)に紹介されるまで、世界的には全く無名の建築家だった。
僕がはじめてズントーを知ったのもその「A+U」の誌面で、建築もさることながらそのドローイング(図面)に驚いた。そのドローイングを見れば何をつくらんとしているのかという「強い意志(=哲学)」を感じ取ることができる、そういう種類のドローイングだった。

聖ベネディクト教会/設計:ピーター・ズントー(1989)
「A+U」にズントーが紹介されるや否や、またたく間に世界中にピーター・ズントーの名は知れ渡り、1998年には「A+U」から作品集も発行された(もちろん僕も持っている)。
2003年には一般雑誌「CASA BRUTUS」(No45 Slow Architecture)にも紹介された。
やはりスイスにこだわり、スイスの山のふもとの片田舎にアトリエを構え、マスコミ嫌いで商業主義を真っ向から否定し(実際、ドイツの大手自動車メーカーのショールームの設計を断っている)、頑固職人のような建築のつくり方をしている。
CASA BRUTUSの誌面で良い具合に使い込まれたコルビジェのソファに腰かけながら葉巻をふかしている写真を見た時は、「なんてかっこいいオヤジなんだ!」とホント思いました。
でもズントーを見ると、なんか「アルプスの少女ハイジ」に出てくるおじいさん(おんじ)を連想してしまうのは僕だけでしょうか?両方とも山のふもとに暮し、白い髭をたくわえ、気難しい。(笑)