先日、ルイス・バラガンの本について書いたけれど、1992年に発売された本で「ルイスバラガンの建築」(TOTO出版)という本がある。まだ設計事務所で働き始めたばかりの頃、安い給料の中からこの高い写真集を買った。写真は建築家の齋藤裕が自ら撮影したものです。
その本の表紙にもなっているのがルイス・バラガンが70歳を過ぎて設計したバラガン最後の作品のギラルディ邸(ヒラルディ邸)のダイニングにある幻想的なプールの写真です。
既に設計活動を終えて隠居生活をしていたバラガンに設計の依頼をしに来た若いギラルディ氏の家です。実は最初はバラガンはずっとこの仕事を断り続けていたそうです。それでも若いギラルディ氏はあきらめずオファーを続け、ある時バラガンより紙ナプキンにサラサラと描かれた家のプランを渡されたそうです。キチンとした図面はほとんど描かず、模型もつくらず、現場に入ってもつくっては壊しの繰り返しでつくられた住宅です。
ギラルディ氏自身も出来上がってはじめて空間を把握したそうですが、その出来上がった空間はまさにバラガンの傑作であり、集大成となる作品となりました。70歳過ぎですよ!
建築設計というのはまさに終わりのない世界なんだと思います。建築に対する”哲学”と”経験”、そして(一番大切な所だが)”依頼”があれば、70歳を過ぎてからでも傑作を生み出すことのできる仕事です。40、50(歳)はまだ”ハナタレ坊主”なんて呼ばれますが、僕なんかまだまだですね。でも建築に対する想いはどんどん深い所へ向かっている気がします。
バラガンの
ホームページ上で写真なんかも見れますので、よろしかったら見てみて下さい。但し、言語は日本語ではありません。ギラルディ邸のプランや写真ももちろん見れます。